メラトニンとセロトニンのバランスが不安定だと熟睡できない

メラトニンとセロトニンの分泌は陰陽の関係にあるので、どちらかが優位になっても本来の働きができません。最近は深夜まで起きている人が多くなっており、とくに、家に帰ってからパソコンやスマホでメールやゲームをしていると、光の情報が目から入り続けているので、体内時計の親時計である視交叉上核は、まだ寝る時間ではないと錯覚して、メラトニン分泌の指令をだせません。

。そうすると、さぁ寝ようかと思ってもなかなか寝つけないだけでなく、日中強烈な睡魔に襲われてしまいます。さらに慢性化すると、眠気だけではなく、頭痛、めまい、胃部不快感、下痢、便秘など社会生活に支障をきたすことが多くなります。
このような状態は、海外旅行に行っていないのに時差ボケになってしまうのと一緒のことです。毎日、地球の時間にからだを合わせることが健康的な生活の基本です。

セロトニン不足には「セロトアルファ」

自律神経に影響するセロトニン

自律神経というのは、交感神経と副交感神経の2つのバランスでなりたっていて、内臓や血管、呼吸などをコントロールしてからだのバランスを保つ役割の神経です。興奮すると血圧が上がるのも暑いときに汗をかくのも自律神経の働きです。

自律神経が不安定になってしまう病気を自律神経失調症といいますが、なりやすい体質というものがあります。

自律神経の2つの神経系のうち、交感神経は起きているときに優位になる神経で、とくに緊張状態のときにはかなり強くなります。一方、副交感神経はリラックスしているときや寝ているときに優位になる神経です。

自律神経というのは、外部からのなんらかの刺激によって、からだのバランスが崩れそうになったときに、からだの働きを正常に保つ働きがあります。セロトニンは、朝起きたときに交感神経の活動を活発にする働きがあります。夜になって、セロトニンの分泌が減り、メラトニンの分泌が増えると、リラックスの副交感神経が働きだすということになります。自律神経のバランスを崩す原因には、ストレスが大きく関わっています。

交感神経と副交感神経

副交感神経   交感神経
瞳孔縮小 瞳孔拡張
収縮 気管支 拡張
グリコーゲン合成 心臓 拍動促進
膵液分泌促進 膵臓 グリコーゲン分解
活動促進 活動抑制
降下 血圧 上昇

光の刺激が確実にメラトニン合成を促す

太陽の光がどのようにしてメラトニン合成を促すのでしょうか。網膜から入った光の刺激は網膜視床下部路を通って視交叉上核にいき、そこから視床下部室傍核を経由して頚椎から一度外にでて上頚部交感神経節にいきます。

上頚部交感神経節に入った光の信号は、交感神経節後線維を通って再び脳内に入り松果体にいきます。松果体の細胞には、βアドレナリン作動性受容体があるため、光の情報によって興奮するとN-アセチルセロトニンへの転移を促進させるので、メラトニンが活性化されるわけです。
したがって、日が沈むとメラトニンの合成が促進され、日が昇ると抑制されるというわけです。