体内時計は太陽光によって毎日調整されている

体内時計はのからだのなかで次のような経路で機能します。まず最初に、目からはいった光の情報を一番最初に受けるのが脳の奥深くにある視交叉上核というところで、ここに体内時計があります。この視交叉上核の指令で、夜になると、メラトニンを分泌させ、朝になったらセロトニンを分泌させます。

さらに、この視交叉上核はからだの内臓や皮膚にある体内時計に時間の指令を伝達します。それによって、朝になったから起きろ、夜になったから寝ろという信号をからだに伝えていくわけです。視交叉上核の重要な働きは概日リズムをつくることです。

網膜で受けた太陽の光の情報を受けて体内時計を地球の1日のリズムに同調させるのです。また、この光の刺激は通常電灯の明かりでは代用できないのが特徴です。

メラトニン、セロトニンは太陽によって調整されている

セロトニンは起床してから分泌され、メラトニンは夜、分泌されるのですが、そもそも人間のからだは、地球の自転、月、太陽のリズムに支配されています。地球は1回転するのに23時間56分、1年の日数は365.24222日になり、私たちが教わった24時間と365日とは多少のズレがあります。

そのズレを修正するために4年に一度うるう年をつくつています。私たちが地球上で生活していくためには、地球時間と体内時計を合わせなくてはいけません。このズレを調整するのが太陽の光なのです。個人差はありますが、体内時計は地球時間とは違い1日釣25時間と地球の1日よりも長く設定されています。このことから、私たちの体内時計を概日リズムといっています。したがって、私たちは毎日、体内時計と地球時間のズレを修正しなければならないのです。

地球時間と体内時間には、1日で約1時間のズレが起こります。そのズレを修正するために、朝日を浴びて朝がきたと実感するなどの、太陽光による調整が必要になります。

セロトニン神経

セロトニン神経はどのようなものでしょうか?私たちの脳には、約150億の神経細胞が張り巡らされていて、そのなかでセロトニン神経と呼ばれるのは数万個あります。セロトニン神経はセロトニンを情報伝達に利用していますが、セロトニン神経を特殊な色素で染めてみますと、脳全体にセロトニン神経が分布していることがわかります。

したがって、セロトニン神経自体は少ないですが、1つのセロトニン神経が万単位の神経細胞をコントロールしていることを考えると、まさにオーケストラの指揮者のような役割を持っているといえます。オーケストラは指揮者がいないとまとまりませんし、逆に1つ1つに細かく指示を出していたら他のパートがおろそかになってしまいます。

1つのセロトニン細胞が数万個の神経細胞に指令をだし、コントロールしているのです。

セロトニン神経は、私たちが昼間活動しているときに、心とからだの調節機能を果たす重要な役割をもっています。