ストレスホルモンは早朝に分泌される

明け方にかけてメラトニンの分泌が減少してくると、コルチゾールとセロトニンが分泌されます。コルチゾールはストレスホルモンといわれ、早朝にたくさん分泌され、セロトニンとともに朝の目覚めを演出します。ところが、からだがストレスの影響下にあると、セロトニンを抑制してしまい、結果的にメラトニンの分泌にまで影響を及ぼしてしまいます。

からだがストレスの影響を受けると、防御反応によりストレスホルモンのコルチゾールが分泌されますが、それが長時間体内に分泌され続けると、血圧が上がったり、糖尿病になったり、免疫系が抑制されるようになります。したがって、ストレスが多いと感じたときは、セロトニンをたくさん分泌させるために、トリプトファンを多く含む食品を食べて、運動することが一番の積極的防衛方法といえます。

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メラトニンはサプリで摂るのはNG

メラトニンは糖尿病のインスリンと同じように、体内で合成できるホルモンです。したがって、子供のときからメラトニンのサプリメントを飲んでいると、からだは努力をしなくても常にメラトニンが豊富にある状態で、つくることを忘れてしまいます。

とくに幼児期は、もともとからだでどんどんメラトニンが合成されているので、たとえ睡眠障害でも、絶対にサプリメントは禁止です。視床下部には性の中枢という部分があり、そこから卵巣や精巣などの生殖器官の発達を促す性腺刺激ホルモンを分泌しています。メラトニンが松果体から分泌されると、視床下部にある性の中枢に働きかけることで性腺刺激ホルモンの分泌を抑制して、成長ホルモンを分泌させています。

思春期になるとメラトニンが減少するわけですが、今度は、性腺刺激ホルモンがたくさん分泌されはじめ、男女の成熟がはじまるわけやこのような大切な時期にサプリメント与えると、からだが成熟に混乱きたしてしまいます。

いわゆる、妊婦中もそうですが生殖に関係する時期にメラトニンと問題が起きる可能性があります。

もっとも、すべての人がサプリメントを飲んではいけないといありません。国際線のパイロットや乗務員、海外に頻繁に行くビジネスマンは、時差ボケ修正のために一時的にサプリメントを飲んで、体を現地時間に合わせる必要があります。

また、高齢者はメラトニンの分泌が少ないので、補う必要があります。しかし、メラトニンは日本では販売されていませんので、服用の場合は、医師に処方してもらわなければなりません。できれば、60歳代まではなるべくサプリメントに頼らずに、自然睡眠方法を考えたほうが健康のためにもなるでしょう。
そこで、リズム運動を日ごろからすることによって、セロトニンが分泌されますし、成人病の予防にもつながりますので一石二鳥というわけです。

メラトニンは加齢により減少する

メラトニンの分泌量は17歳から18歳くらいを境にして急激に減少するのですが、高齢になればなるほど分泌量は少なくなっていきます。もちろん、まったくメラトニンが分泌されなくなるというわけではなく、死ぬまでメラトニンは分泌されますが、睡眠を長く維持するだけの分量は分泌されなくなります。年をとることで眠れなくなる原因の大きな要因です
今年で80歳になる女優の森光子さんは外見は20歳くらい若く見えるのですが、75歳くらいから健康維持と芝居のために毎日スクワットを150回しているといいます。メラトニンが不足している年齢になり、スクワットをすることでセロトニンがたくさん蓄えられ、結果的にメラトニンの分泌が多くなります。
これは、よく眠れるだけでなく、アンチエイジングにもつながりますので、高齢になればなるほど運動が大切だということがよくわかります。

メラトニンを活性化させる運動

  • ウォーキング
    あごをやや引いて、顔を上を向いて目はやや遠くを見ます。背中、腰を伸ばし、姿勢をよくし、からだ全体でリズムをとるような感じで、軽快に歩きます。
  • 水泳
    泳げない場合は、水のなかを歩くだけ
    でも効果があります。通常のウォーキングより水中の方がからだに負担をかけずに筋力をつけることができます。

  • スクワット
    手軽に行なえる運動の1つ。両足を肩幅程度に開き、ももとおしりを上下させます七ももが床と平行になるまで曲げるのが理想です。