免疫力をアップするメラトニン

睡眠不足が続くと風邪を引いたり、感染症にかかったりすることが多くなります。健康なときは、風邪のウィルスが体内に入ったとしても、免疫機能がしっかりしているためにひと晩十分に寝ればウィルスを殺すことができます。ウィルスを退治するのは、リンパ球(NK細胞、T細胞、B細胞) ですが、睡眠不足により、メラトニンの分泌が少なくなると、ウィルスと闘う細胞の攻撃力が衰えていきます。この攻撃力を高めるためには、免疫系の中枢になっている胸腺を強化しなくてはなりません。NK細胞とB細胞は骨髄でつくられ、T細胞は胸骨の後ろにある約15グラムという小さな胸腺でつくられます。
胸腺は、思春期には30グラムと倍くらいに大きくなりますが、加齢とともに縮小しはじめていきます。

したがって、胸腺機能の低下しはじめた50歳代以降にがんなどのL多くなるわけです。T細胞にはヘルパーT細胞、キラーT細胞、サブレッサーT細晦ます。ヘルパーT細胞は、からだ中をかけめぐり、からだに悪影響す細胞を探しだすと、そこへキラーT細胞やB細胞がかけつけて琴サブレッサーT細胞は過剰な攻撃を抑制するストッパーの役割を果たします。そのT細胞をつくっている胸腺の能力が落ちてしまうと、がんなどの免疫系の病気にかかりやすくなるというわけです。

メラトニンには、この胸腺の能力をアップする効果が認められていますので睡眠をおろそかにするわけにはいかないのです。

ウィルスを退治する細胞

  • NK細胞
    生体内で、ウイルス感染細胞や、一部の腫瘍細胞を認識し、傷害する。人体において生体防御の中心的役割をしている。
  • T細胞
    胸腺で生まれる免疫細胞。感染した細胞を見つけて排除する。T細胞は3種類あり、それぞれ司令塔、殺し屋、ストッパーの役目を担っている。
  • B細胞
    骨髄からつくられる免疫細胞。病原菌(抗原)に応じた抗体を産生し、抗原を攻撃する。免疫系のなかでは間接攻撃の役割を担っている。

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病気の原因になる活性酸素は不安定物質

活性酸素とは文字通り活性化された酸素のことで、酸化力の強い酸素のことをいいます。空気中の酸素は原子核のまわりの電子が2個でペアになって安定した状態ですが、活性酸素はマイナスの電子を持っているため、自分が安定しようとして、近くの分子から電子を奪い取ってしまいます。
電子を奪い取られた分子は、電子の数が足りなくなってバランスを失ってしまい、酸化がはじまります。活性酸素は体内で、脂質、糖質、アミノ酸などを酸化変性させ、細胞機能を障害します。このようなことが日常的に行なわれていると、病気の原因になってしまいます。
活性酸素にはたくさんの種類がありますが、代表的なものでは左の表の酸素化合物があげられます。

活性酸素は、酸素分子のなかでペアになっていない電子が相手を探そうと㍍できる酸素化合物でも活性酸素は、脂質、糖質、アミノ酸、各器官の分子を酸化させてしまいます。

活性酸素 酸化力
一重項酸素 電子はペアになっているので酸化力は低い
スーパーオキシドアニオンラジカル 大量に体内に発生するが反応は低い
過酸化水素水 電子はすべてペアになっているので酸化力は低い
ヒドロキシルラジカル 活性酸素の中で一番酸化力が強い

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からだの掃除洗濯を担うメラトニン

私たちが生きていくうえで一番大切なものはなにかというと、酸素です。呼吸によって酸素を取り込み、からだはそれを利用してエネルギーに換えているから私たちは生きていけるのです。日常生活でもそうですが、料理をつくるとかならずゴミがでますし、車を運転すれば排気ガス、私たちの糞尿もゴミです。

掃除洗濯をしないと家のなかはどうなるでしょうか。事務所の机の上をかたづけないと書類や資料が山になり仕事も思うようにできなくなり、さまざまなところに反映してしまいます。

からだも同じように、酸素を使ってエネルギーをつくつていればかならず活性酸素というゴミがでてきます。この活性酸素は、激しい運動をしたり、仕事をバリバリこなしたりなど活動量が多くなればなるほど増えていきます。通常の規則正しい生活をしていれば、活性酸素はあまりたまりません。

活性酸素をためないためには!

食品添加物などを体内に取り込まない。

インスタント食品、レトルト食品など加工食品には添加物が多く含まれています。できる限り自然食品を摂るようにします。

タバコやアルコールを控える

たばこの煙は肺を活性酸素により攻撃します。また、アルコールは異物として肝臓で解毒されるため活性酸素を発生します。

排ガス、紫外線を避ける。

汚染された空気を吸っていると、肺が活性酸素により攻撃されます。紫外線は活性酸素によって皮膚を内側から破壊させます。

急な激しい運動を避ける

急な激しい運動によってからだが酸欠になり、活性酸素を発生させます。ウォーキングなどの心拍を管理できるスポーツをはじめます。

ストレスを解消する

強いストレスもホルモンのバランスを崩すため、活性酸素を発生させる要因になります。十分な睡眠と休養を心がけます。

しかし、ストレスや夜更かし、飲みすぎなど生活のリズムが乱れると活性酸素はどんどん増えて、からだに蓄積してしまいます。からだにたまった活性酸素をそのままにしておくと、老化が加速度を増し、動脈硬化などの血管の病気をもたらせたり、細胞を変性させてアルツハイマー病やパーキンソン病など、あらゆる病気の原因になってしまいます。

若ければ別ですが、老化が進んでしまうと元に戻すのは至難の業。では、からだはこの活性酸素をどのようにしてきれいにしているかといいますと、それは寝ているときにメラトニンが掃除・洗濯をしてくれているのです。したがって、メラトニンに一生懸命掃除・洗濯をしてもらうためには、昼問に一生懸命活動して、セロトニンを増やしメラトニンの分泌をしやすくすることしかありません。

ただ注意しなくてはいけないのは、いくらメラトニンが掃除洗濯をしてくれるからといって、サプリメントで摂るのはおすすめできません。からだがメラトニンを合成できる能力を持っているかぎり、からだのシステムを借用して、そのためになにをしたらいいかを考えるべきなのです。

活性酸素は私たちのからだにある程度は必要ですが、増えすぎると「病気」や「老化」の原因になり、からだに悪影響をもたらします。活性酸素の発生を防ぐために、生活習慣を見直しましょう。

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