太陽が少ない地域では食習慣にかたよりがある

朝起きたら太陽の光を浴びるのが理想的ですが、地域によってはそれができないところもあります。北欧のノルウェー、スウェーデン、フィンランドやスコットランドの北部などでは、地球の緯度の関係で太陽がでている時間はかなり少なくなっています。緯度の高い地方では、季節性感情障害という冬期だけに起こる精神障害があり、食欲低下、不眠、うつ傾向などの症状が現れることが多くなります。

一般的には、この症状のことを冬期うつ病ともいっています。日照時間が短いことと、セロトニンとメラトニンの分泌量の問題が考えられます。また、日照時間が短くなる季節に、食べ物の好みが変わることがあるようです。人によっても違いはありますが、パスタなどのめん類、穀類、パン、ジャガイモ、ピザなどの炭水化物を好んで食べるようになります。

なぜ炭水化物をたくさん食べるのかといいますと、セロトニンの原料となるトリプトファンがたくさん含まれているからです。あまとくに北欧では、ライ麦パンや亜麻パンを好んで食べるようですが、これらにはトリプトファンがたくさん含まれています。フィンランドでは、ナイトミルクといって夜搾乳する牛乳があり、この成分にはメラトニンが含まれています。太陽が少ない国だからこそこういう食材を積極的に食べるのでしょう。

季節性障害

日本では冬季うつ病とも呼ばれ、0 月から1 1 月ごろに抑うつがはじまり、2月から3月ごろに治まるという症状を繰り返します。

原因

日照時間とメラトニンに関係しているといわれています。メラトニンは暗い場所や夜間に分泌されます。日照時間の減少する冬には夏よりも分泌は少なくなりまもそのため、メラトニンが十分に分泌できないことが心身に影響を及ぼしていることが原因と考えられています。

治療

治療方法はライトセラピーと呼ばれる光療法を行います。人工的に作り出した高照度の光を浴びることによってメラトニンの分泌を抑制するというものです。

予防法

太陽の光を浴びることです。カーテンを開けて太陽の光を取り入れたり、日光浴をするだけで効果が期待できるとされています。他の精神障害においても意識的に太陽光を浴びることは効果があるとされています。

食品100g中に含まれるトリプトファンの量

  • ひまわりのt種831mg
  • アーモンド/200mg
  • 大豆/490mg
  • 牛乳/38mg
  • ナチュラルチーズ/320mg

曇りや雨の日は運動でメラトニンの材料が増える

太陽の光を浴びるとメラトニンの材料であるセロトニンが増えるのですが、曇りの日はどうしたらいいのでしょうか。晴天のときの光の強さは1000ルクスくらいあるのですが、曇天や雨のときは3000ルクス以下になってしまいます。いくら光を浴びるといっても、蛍光灯の300ルクスくらいではほとんど効果はありません。

太陽の光を浴びることができない日は、とにかく運動することです。前にも説明したように、セロトニン神経を活性化させるには「リズム運動」が効果的です。習慣的にリズム運動をすることでセロトニンの分泌を促すことができます。私たちが毎日行なっているリズム運動には、「歩く」「咀嚼」「呼吸」の3つがありますので、「散歩」したり「ガム」をかんだり「呼吸法」をするというのはセロトニンの分泌にとっては欠かせないことです。

晴れの日は太陽を浴びるだけでセロトニンを蓄えることができます。雨の日は、太陽光を浴びることができないので、積極的にからだを動かすことが大切です。

長時間の昼寝はメラトニンの材料を減らしてしまう

スペインにはシエスタという昼寝の習慣がありますが、日本にも昔は昼寝の習慣がありました。もっとも、習慣がなくてもお昼ご飯を食べてから30分くらいすると、眠くなってくるものです。昼食後に眠くなる理由ははっきりしていませんが、あとで説明するようにメラトニンを含む食べ物を多く摂ると眠くなることがあります。職人さんなどは、暑い夏でも寒い冬でもお昼を食べたあとに20分程度仮眠をとる人が多いようです。

お米にもメラトニンが含まれていますから、食事の後に眠くなるのはそのせいかもしれません。昼寝は一種の疲労回復作業で、エネルギー補給や免疫力をアップしたりすることで、夜寝るまでの活力を蓄えるわけです。もっとも、1時間、2時間と寝てしまうとセロトニンが少なくなってしまうので、夜寝る時間になっても眠たくなくなるという事態になります。
昼寝は30分以内が最適で、それ以上はかえって体調を崩してしまいますので、注意が必要です。

こちらには昼寝以外にも熟眠を妨げる要因が紹介されています。

昼寝の効果

  1. 脳やからだの活動レベルを下げる
  2. 脈拍、血圧がさがり心身がリラックス
  3. 休息効果が心身への疲労回復を促す

昼寝は、あくまでも仮眠です。体勢を完全に横たえず、イスや机にもたれかかる程度の姿勢で眠ると、覚醒への移行に無理がなく目覚めることができます。

快眠につながる効果的な昼寝はこちら。