光の刺激が確実にメラトニン合成を促す

太陽の光がどのようにしてメラトニン合成を促すのでしょうか。網膜から入った光の刺激は網膜視床下部路を通って視交叉上核にいき、そこから視床下部室傍核を経由して頚椎から一度外にでて上頚部交感神経節にいきます。

上頚部交感神経節に入った光の信号は、交感神経節後線維を通って再び脳内に入り松果体にいきます。松果体の細胞には、βアドレナリン作動性受容体があるため、光の情報によって興奮するとN-アセチルセロトニンへの転移を促進させるので、メラトニンが活性化されるわけです。
したがって、日が沈むとメラトニンの合成が促進され、日が昇ると抑制されるというわけです。

体内時計は太陽光によって毎日調整されている

体内時計はのからだのなかで次のような経路で機能します。まず最初に、目からはいった光の情報を一番最初に受けるのが脳の奥深くにある視交叉上核というところで、ここに体内時計があります。この視交叉上核の指令で、夜になると、メラトニンを分泌させ、朝になったらセロトニンを分泌させます。

さらに、この視交叉上核はからだの内臓や皮膚にある体内時計に時間の指令を伝達します。それによって、朝になったから起きろ、夜になったから寝ろという信号をからだに伝えていくわけです。視交叉上核の重要な働きは概日リズムをつくることです。

網膜で受けた太陽の光の情報を受けて体内時計を地球の1日のリズムに同調させるのです。また、この光の刺激は通常電灯の明かりでは代用できないのが特徴です。

メラトニン、セロトニンは太陽によって調整されている

セロトニンは起床してから分泌され、メラトニンは夜、分泌されるのですが、そもそも人間のからだは、地球の自転、月、太陽のリズムに支配されています。地球は1回転するのに23時間56分、1年の日数は365.24222日になり、私たちが教わった24時間と365日とは多少のズレがあります。

そのズレを修正するために4年に一度うるう年をつくつています。私たちが地球上で生活していくためには、地球時間と体内時計を合わせなくてはいけません。このズレを調整するのが太陽の光なのです。個人差はありますが、体内時計は地球時間とは違い1日釣25時間と地球の1日よりも長く設定されています。このことから、私たちの体内時計を概日リズムといっています。したがって、私たちは毎日、体内時計と地球時間のズレを修正しなければならないのです。

地球時間と体内時間には、1日で約1時間のズレが起こります。そのズレを修正するために、朝日を浴びて朝がきたと実感するなどの、太陽光による調整が必要になります。