自律神経に影響するセロトニン

自律神経というのは、交感神経と副交感神経の2つのバランスでなりたっていて、内臓や血管、呼吸などをコントロールしてからだのバランスを保つ役割の神経です。興奮すると血圧が上がるのも暑いときに汗をかくのも自律神経の働きです。

自律神経が不安定になってしまう病気を自律神経失調症といいますが、なりやすい体質というものがあります。

自律神経の2つの神経系のうち、交感神経は起きているときに優位になる神経で、とくに緊張状態のときにはかなり強くなります。一方、副交感神経はリラックスしているときや寝ているときに優位になる神経です。

自律神経というのは、外部からのなんらかの刺激によって、からだのバランスが崩れそうになったときに、からだの働きを正常に保つ働きがあります。セロトニンは、朝起きたときに交感神経の活動を活発にする働きがあります。夜になって、セロトニンの分泌が減り、メラトニンの分泌が増えると、リラックスの副交感神経が働きだすということになります。自律神経のバランスを崩す原因には、ストレスが大きく関わっています。

交感神経と副交感神経

副交感神経   交感神経
瞳孔縮小 瞳孔拡張
収縮 気管支 拡張
グリコーゲン合成 心臓 拍動促進
膵液分泌促進 膵臓 グリコーゲン分解
活動促進 活動抑制
降下 血圧 上昇

光の刺激が確実にメラトニン合成を促す

太陽の光がどのようにしてメラトニン合成を促すのでしょうか。網膜から入った光の刺激は網膜視床下部路を通って視交叉上核にいき、そこから視床下部室傍核を経由して頚椎から一度外にでて上頚部交感神経節にいきます。

上頚部交感神経節に入った光の信号は、交感神経節後線維を通って再び脳内に入り松果体にいきます。松果体の細胞には、βアドレナリン作動性受容体があるため、光の情報によって興奮するとN-アセチルセロトニンへの転移を促進させるので、メラトニンが活性化されるわけです。
したがって、日が沈むとメラトニンの合成が促進され、日が昇ると抑制されるというわけです。

体内時計は太陽光によって毎日調整されている

体内時計はのからだのなかで次のような経路で機能します。まず最初に、目からはいった光の情報を一番最初に受けるのが脳の奥深くにある視交叉上核というところで、ここに体内時計があります。この視交叉上核の指令で、夜になると、メラトニンを分泌させ、朝になったらセロトニンを分泌させます。

さらに、この視交叉上核はからだの内臓や皮膚にある体内時計に時間の指令を伝達します。それによって、朝になったから起きろ、夜になったから寝ろという信号をからだに伝えていくわけです。視交叉上核の重要な働きは概日リズムをつくることです。

網膜で受けた太陽の光の情報を受けて体内時計を地球の1日のリズムに同調させるのです。また、この光の刺激は通常電灯の明かりでは代用できないのが特徴です。