セロトニン神経

セロトニン神経はどのようなものでしょうか?私たちの脳には、約150億の神経細胞が張り巡らされていて、そのなかでセロトニン神経と呼ばれるのは数万個あります。セロトニン神経はセロトニンを情報伝達に利用していますが、セロトニン神経を特殊な色素で染めてみますと、脳全体にセロトニン神経が分布していることがわかります。

したがって、セロトニン神経自体は少ないですが、1つのセロトニン神経が万単位の神経細胞をコントロールしていることを考えると、まさにオーケストラの指揮者のような役割を持っているといえます。オーケストラは指揮者がいないとまとまりませんし、逆に1つ1つに細かく指示を出していたら他のパートがおろそかになってしまいます。

1つのセロトニン細胞が数万個の神経細胞に指令をだし、コントロールしているのです。

セロトニン神経は、私たちが昼間活動しているときに、心とからだの調節機能を果たす重要な役割をもっています。

メラトニンとセロトニンの関係性

古来中国では、物事すべてに陰陽の関係があるといわれています。とくに漠方医学では陰陽の考え方が基本になっていて、陰陽のバランスをとることが健康を維持するうえで大切だということです。この考え方は人間の体で考えるとまさに理にかなっている点がいくつもあり驚かされます。

この陰陽を日常生活にあてはめてみますと、夜は陰、昼は陽になります。季節での差はあれ、昼と夜は約12 時間ずつでバランスがとれています。l日の生活のなかで陰が長くても陽が長くてもいけないわけで、このバランスが崩れると健康に大きな影響をおよぼしてしまいます。

この陰陽の考え方をメラトニンとセロトニンにあてはめてみますと、おもしろいようにそれぞれの役割の大切さが理解できるようになります。太陽が昇るとともに陽のセロトニンが分泌され、日中行動するための元気を与えてくれます。

仕事や勉強に忙しくしていると、当然エネルギーを使いますが、エネルギーを使えばかならず老廃物が体内にたまります。老廃物で一番大きな開港になるのが活性酸素、さらに、外来異物としてのウィルスなどが知らぬ間に体の中に入り込んでしまいます。

夕方になり、太陽が沈むと、今度は陰のメラトニンが分泌をはじめ、その日のセロトニンの役目は終了します。日が沈んでメラトニンが分泌されはじめ数時間後に電灯を消すと、「眠りなさい」と視交叉上核を経由した松果体から指示があり、メラトニンの分泌がさらに多くなります。

寝ることで脳もからだも休息するわけですが、寝るという行為は単なるエネルギーの補充だけではありません。日中の活動で老廃物がたくさんたまった汚れたからだを、きれいに掃除してくれるのです。しかし、この陰陽のバランスが出朋れてしまいますと、メラトニンとセロトニンの本来の役割が時間通りにいかなくなってしまいます。現代は24時間営業のお店が増えただけでなく、仕事や勉強で昼夜逆転することもしばしばです。このような生活を続けていると、確実に健康を損ないますし、精神的にも大きなダメージを与えてしまいます。

睡眠の効果

  • 老化一因である活性酸素の除去
  • 脳の疲れを取り除き情報の整理
  • 精神を安定させストレスを減らす
  • 記憶の定着
  • 成長ホルモンの分泌
  • 免疫力アップ
  • 血圧が下がり、心拍数・呼吸数が減りリラックスモードへ

成長ホルモンはメラトニンなしでは分泌されない

基本的に人間の脳というのは未成熟で生まれてきているので、さまざまな脳内物質は、幼児期には増減し、激しく変動しています。生まれたばかりのときは、成人が持っている機能はほとんどありませんので、歩くこともしゃべることもできません。
成長するにしたがって脳の回路もできあがり、しやべったり歩いたりが可能となります。

子どもは、メラトニンの分泌が引き金になって成長ホルモンの分泌を促し、成長していきます。この成長ホルモンは骨に働きかけることによって、からだや背がどんどん大きくなっていきます。思春期になって成長が止まるのは、メラトニンの分泌が減りはじめて、成長ホルモンの分泌が少なくなるためです。
成長のためにもメラトニンは欠かせません。

成長ホルモンは睡眠中に多く分泌されます。とくに幼少期は、大量に分泌されます。きっちり睡眠をとり、メラトニン分泌を促すことで、脳やからだの成長が保たれるのです。