成長ホルモンはメラトニンなしでは分泌されない

基本的に人間の脳というのは未成熟で生まれてきているので、さまざまな脳内物質は、幼児期には増減し、激しく変動しています。生まれたばかりのときは、成人が持っている機能はほとんどありませんので、歩くこともしゃべることもできません。
成長するにしたがって脳の回路もできあがり、しやべったり歩いたりが可能となります。

子どもは、メラトニンの分泌が引き金になって成長ホルモンの分泌を促し、成長していきます。この成長ホルモンは骨に働きかけることによって、からだや背がどんどん大きくなっていきます。思春期になって成長が止まるのは、メラトニンの分泌が減りはじめて、成長ホルモンの分泌が少なくなるためです。
成長のためにもメラトニンは欠かせません。

成長ホルモンは睡眠中に多く分泌されます。とくに幼少期は、大量に分泌されます。きっちり睡眠をとり、メラトニン分泌を促すことで、脳やからだの成長が保たれるのです。

メラトニンは思春期以降減少してしまう

メラトニンは睡眠を誘発する引き金になるだけではなく、睡眠初期から朝起きるまでずっと分泌が継続しています。では、赤ちゃんはどうかといいますと、1歳くらいまではメラトニンの分泌はなく、お乳を飲んで寝るという睡眠のリズムしかありません。赤ちゃんの睡眠レベルはレム睡眠が主体になっていて、1歳を過ぎたころからメラトニンの分泌がはじまり、3歳から5歳くらいにメラトニンシャワーといって、分泌量が急激に増えます。
この頃から睡眠のリズムが大人と一緒になります。その後、17歳から18歳を境にしてメラトニンの分泌は減少していきます。さらに、高齢になるとメラトニンの量が少なくなるので、睡眠障害も起きやすくなります。このように思春期までメラトニンの分泌が多いというのは、からだの成長にメラトニンがかかわっているからです。

メラトニンというホルモンは夜、寝ている間につくられる

メラトニンの生成のメカニズムについてはわかりましたが、ではメラトニンが分泌されるのはどのような状況のときでしょうか。

朝起きて、眼から太陽の光が入ると、光の信号は視神経を通って視交叉上核にいき、松果体に届きます。目から入った光は「朝ですよ!」という信号をセロトニン神経に送ると、セロトニンが分泌されはじめます。

それから約12時間後、太陽が沈んで数時間すると「夜になったよ!」という信号が松果体に送られ、セロトニンの分泌が止まりメラトニンの分泌がはじまります。

つまり、太陽がでている日中にはセロトニンが活発で、太陽が沈んだ夜になるとメラトニンの分泌が盛んになるということです。とくに午前0時から2時頃にメラトニンの分泌量がピークに達します。この分泌のパターンは日本に住んでいる人でしたらだいたい同じ時刻になるため、規則正しい生活をしている場合、およそ同じ時間帯に目が覚めて同じ時刻に眠くなるというパターンが生まれます。